大学院の目的

秋田大学大学院工学資源学研究科は,基礎となる学部の設立理念に立ち,21世紀初頭に当たり人類の持続的発展に貢献することを目的とし,工学資源学の諸分野の基本を踏まえつつ,グローバリゼーション時代における資源サイクル分野・エネルギー分野・環境安全分野問題への対応,急速に進行しつつある少子高齢化に付随した工学的な諸課題,並びに高度情報化社会における諸課題に対応する新しい研究領域を創出することを目的としている。


 

博士前期課程 各専攻の目標

地球資源学専攻

 地球科学、物理学、化学を基礎にした鉱物資源・エネルギー資源の探査、これらの地下資源の開発・輸送、地下環境計測、地下利用など広く地殻の開発と利用に関する理論と技術、および地震・地滑り・火山噴火等の火災予測とその防止対策技術等にわたる高度な教育・研修を行い、新しい資源開発及び地殻利用を促進させる技術者の育成を目指す。また、資源の多くは地球上に偏在し、資源・エネルギー問題は国際的な関わりを有することから、海外の資源の調査・開発、技術援助等の分野で活躍できる国際的な資源系技術者の養成を目指す。

  

環境応用化学専攻

 自然環境と調和した豊かな人間社会を実現するために、新機能物質の開発とその評価、資源の循環・再生、エネルギーの有効利用、生体機能の利用など、化学を基盤として環境との関わりを重視した教育を行う。特に「化学物質」および「化学プロセス」についてミクロからマクロにわたり幅広い視点から現象を分析する能力を有し、環境と技術の調和を図ることができる視野の広い人材の育成を目指した教育を行う。 

 

生命科学専攻

 広汎かつ深い知識を持ち、独創性の高い研究・開発が出来る研究者を育成する。本専攻は、生体分子の構造と生理機能、生体分子の相互作用から種々の生態情報伝達を含めた生命現象を包括的に理解し、それらの応用について思考し、実践できる人材の育成を目指す大学院である。基礎生命科学から医学・薬学・農学・生命工学などの応用生命科学まで、広範で深い知識と解析能力を養い、独創性の高い研究を実行できる人材を育成する。

 

材料工学専攻

 新産業のシーズの創出や技術革新のブレークスルーには、それを支える新しい機能材料の開発が不可欠になる。とくに次世代機能材料としてエネルギー関連材料ならびに知能材料の開発が求められている。本専攻では、これらの要望に応えるため、材料工学に関する幅広い知識と次世代機能材料の開発能力を有する人材を養成するとともに、材料開発を通して地域産業に貢献できる人材の育成を目指す。

 

情報工学専攻

 情報技術とその関連技術の急速な拡大・発展に伴い、社会システムそのものが変わろうとしている。本専攻では、情報技術の進化に柔軟に対応し、情報工学の専門分野に関する高度な知識を備え、健全なユビキタス社会を創世出来るような人材の育成を目指す。

 

機械工学専攻

 機械工学の専門分野は益々その領域を広げ、複雑化、学際化している。本専攻では、これらの変化に柔軟に対応し、機械工学の専門分野に関する高度な知識を備え、国際的な活躍及び地域貢献できるような上級技術者・研究者の養成を目指す。

 

電気電子工学専攻

 電気電子工学の諸分野の進展は目覚ましく多様な分野に変化を遂げつつある。エレクトロニクス技術に対する社会の期待と要求も、エネルギー問題、環境や福祉の問題とも関連して大きく変化している。これらの諸問題の解決に指導的な役割を果たすことが期待できる創造性豊かな研究者及び高度な知識と能力を備えた専門技術者の養成を目的にしている。

 

土木環境工学専攻

 広い視野に立って土木環境工学専攻分野における研究能力及び高度の専門性を要する職業に必要な能力を身につけるため、設計、施工、維持管理等ハード技術分野と地域・環境計画等ソフト技術分野に重点を置いた教育研究を行う。

 

共同ライフサイクルデザイン工学専攻

 近年、高度に発展を続ける産業社会においては、新たな要求が次々と生じている。そして、従来の枠組みでは対応しきれない課題も多く見出されるようになってきた。特に最近では、環境に関連する要求が顕著になり、環境負荷の低減、循環型社会の形成などといった問題が日増しに強くなってきている。そしてそのような要求に答えるための一つの方法として、企画・設計から廃棄にいたるまでの製品の全てのライフサイクルを考慮した設計が近年注目されるようになって来た。本共同専攻はこのような理由から設置されたものであり、ライフサイクルデザインに関連する広範囲の知識に基づいて、国際的な視点から循環型社会の形成に貢献する人材や、環境に配慮しつつ地域社会の活性化に貢献する人材を育成してゆくことが本専攻の目的である。

 

 

博士後期課程 各専攻の目標

資源学専攻

 本専攻は鉱物資源、エネルギー資源等の多様な資源の生成・賦存環境を考慮した探査、生産、開発およびそれらに伴う環境問題に関する科学技術、資源素材リサイクル技術、環境調和型新素材の開発技術等の先端的な資源学についての教育研究を行うため、次の教育研究分野(講座)を置く。(1)資源などの探査技術及びそれに関連した資源の生成機構、地球物理学的変遷などに関わる教育研究をおこなう資源地球科学講座、(2)資源の生産・開発、環境保全に配慮した科学技術に関する教育研究を行う資源環境学講座、および(3)環境との調和を考慮した資源および素材の処理、環境保全に有効な技術などに関する教育研究を行う環境資源サイクル工学講座。これにより社会の要請に応え得る新たな資源学の幅広い知識と高度の専門技術を修得した人材を育成する。

 

機能物質工学専攻

 物質や材料は、現代の科学技術において、中枢的な役割を担っている。昨今の著しい科学技術の進歩に十分対応し得るか否かは、物質に種々の機能を付与し、かつ要求に適った新物質をいかに合理的に開発していくかにかかっている。それには従来の分類による金属工学、材料工学、無機工業工学、有機合成化学、化学工学等の学問研究分野に精通した専門的基礎知識に加えて、それらの分野の枠組みにこだわらない総合的かつ高度な理解力・創造力が要求される。すなわち、物質の持つ巨視的な特性と機能について分子、原子、イオンあるいは電子という構成要素とそれらの結合や構造の本質から微視的に理解すると共に、それらの特性を改変制御するという視点が重要である。本専攻は、これらの人材養成プログラムを物質工学の面から支えている。さらに、急激な社会環境の変化、すなわち、

 1)地球環境問題が大きくクローズアップされ、産業活動と人間生活のあり方に大きな変革が求められているとともに、これに対して地球環境問題に国際的なイニシアチブを発揮できる人材が求められていること

 2)環境問題への対応と資源の効率的利用を促進するため循環型社会の形成が強く志向され、それに貢献できる人材が求められていること

 3)情報化社会の進展の中でそれを支えるもの造りに的確に対処できる人材が求められていること

 4)国家的な研究開発課題であるナノテクノロジー・材料に対応、貢献できる人材が求められていること

などにも積極的に対応すべく、教育内容の充実を図る。

 本専攻では、このような見地から「機能材料工学」、「環境応用化学」の2講座を設置し、前期課程を修了した学生のみならず、現在研究開発に活躍している技術者を対象として物質・材料の物性、物質の反応性、材料の製造プロセス、解析・合成など新機能物質、新素材開発の基礎から応用に至るまでの総合的な教育研究を行い、将来の物質工学への要求に応えうる優れた研究者や技術者を養成することを目的とする。

 

生産・建設工学専攻

 我が国の高度成長を支え、経済発展を短期間で実現させた要因は、ものづくりや生産基盤構築に対して卓越した能力をもつ国民性と工学教育によるところが大きいと思われる。今後、新たな対応が迫られている教育課題として、進行する少子高齢化社会と情報技術革命への対応、地球規模でのエネルギー確保、地球・地域環境を守る循環型社会基盤の構築などがある。これらに対処するために組織的なものづくりと生活基盤整備を目指すとともに、地球環境を配慮し持続可能で安定した社会の発展に寄与できる人材の養成を行うことを目的としている。

 

電気電子情報システム工学専攻

 今日の技術社会の実現は、電気電子工学および情報工学の学問的な寄与によるところが大きく、電気電子技術を基盤とした情報技術(IT)の一層の進展が、今後の高度情報化社会の発展の大きな推進役になるものと期待されている。
 本専攻では電気電子工学および情報工学の分野を有機的に統合し、電気情報基盤システム工学講座および電子情報基盤システム工学講座の2講座を設け、急速に進歩する科学技術に対応できる幅広い知識と高度の専門技術を習得した人材を育成することを目的としている。